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今後の取り組み

「動き」のソリューション提供による事業ポートフォリオの進化

当社はこれまで、小型直流モーター専業メーカーとして、お客様が求める真の価値を実現する高品質なモーターを「標準化戦略」によってリーズナブルな価格でご提供し、自動車電装分野からライフ・インダストリー分野まで、人々の暮らしの利便性、快適性及び安全性の向上に幅広く貢献してまいりました。今後もお客様と社会への貢献を拡大するため、モーターをコアとしつつ事業領域を拡大し、多様な「動き」のソリューションを提供することにより事業ポートフォリオを進化させ、事業の成長を図ります。特に「モビリティ」「マシーナリー」「メディカル」を「3つのM領域」と定義し、注力する事業分野としてその取り組みを加速させてまいります。

モビリティ 自動車電装分野では、EV化の進展に伴い、限られたバッテリーで航続距離を延ばすための電力消費量の削減が求められており、小型・軽量・高効率という当社モーターの付加価値を更に高め、開発・生産・販売を推進します。またバッテリーの熱管理を行うためのバッテリー冷却用のバルブ用途の需要が高まっており、ブラシ付モーターとブラシレスモーターの双方をラインナップしている当社の強みを生かし、ユニット対応を含めてお客様の要望に応じたソリューションを提供してまいります。ライフ・インダストリー分野では、移動体用ブラシレスモーターにおいて、AGV(自動搬送車)、小型モビリティ及び階段昇降機等の様々な用途にて受注を獲得しており、引き続き新たなお客様・用途を開拓し、拡販に取り組んでまいります。
マシーナリー 今後市場の拡大が見込まれるロボット市場では、人手不足の解消に貢献するような協調ロボット用途での拡販を目指し、中空構造のブラシレスモーター等ラインナップを拡充しており、今後も新規採用に向けた拡販を進めてまいります。また産業設備に関しては、工業製品や食品等の生産過程におけるCO2排出量の削減が急務となっており、エア式や油圧式から、よりエネルギー変換効率の高い電動式へ切り替える動きが広まっており、ビジネス拡大に向けたソリューション提案を進めてまいります。
メディカル 健康・医療機器用途においては、高付加価値の歯ブラシ用モーターをはじめ、人々の健康に寄与する製品に注力しています。2021年7月にM&Aにより統合した人工呼吸器及び歯科治療機器用モーターなどを手掛けるマブチエレクトロマグの製品ラインナップ及び顧客基盤を足掛かりに医療機器用途の取り組みを強化しております。また、2023年3月には、主に健康・医療機器用の小型ポンプに強みを有するマブチオーケンがM&Aによりグループに加わりました。同社とのシナジー創出を早期に実現し、医療機器用をはじめとする「3つのM領域」における、ユニット対応力とソリューション提案力を強化し、事業拡大に取り組んでまいります。

自動車電装機器及びライフ・インダストリー機器用モーターの拡販

パワーウインドウ用モーターにつきましては、搭載車種の拡大に向けた取り組みを一層強化し、販売活動に一層注力することで、更なるシェア拡大を目指してまいります。北米自動車メーカー3社のうち2社において既に当社製品を採用いただいておりましたが、残る3社目より受注を獲得しました。2025年の販売開始に向け円滑な立ち上げを推進するとともに、更なるシェアアップを実現すべく欧米自動車メーカー向けの新規案件の獲得を目指し拡販を進めてまいります。パワーシート用モーターにおいては、2023年より新たに販売を開始した日系大手のお客様向けビジネスの更なる拡大に取り組むとともに、2024年より新たに販売開始する欧州大手のお客様向け案件の円滑な立ち上げに取り組んでまいります。リクライナー、ハイト及びチルトアジャスターなどの様々な機構に使用可能な新製品を投入することで、既存のお客様におけるシェアアップに取り組んでまいります。パーキングブレーキ及びドアクローザー用等のモーターについては、標準化戦略に基づき多用途への展開が可能な標準モーターの開発及び販売活動に取り組んでまいります。ミラー用をはじめとする当社が高シェアを有する既存製品分野においては、新たな差別化技術を搭載した製品の投入により更なる拡大に取り組んでまいります。
ライフ・インダストリー機器用においては、家電製品や健康・医療等の個人の生活に関する用途と、業務や産業に関する用途に向け、高付加価値の製品を提供してまいります。マブチエレクトロマグは、医療機器用モーターに関する高い技術力を有しておりますが、同社の高回転ブラシレスモーターが工具用で受注を獲得するなど、他用途への展開が進んでおります。今後も、開発・生産・販売のあらゆる面でのシナジー創出に取り組み、ライフ・インダストリー機器用途全体の成長へつなげてまいります。

マブチグローバル経営によるグローバルリスクマネジメント

当社は、各海外拠点の自主・自立性を向上させ地産地消を推進する「世界5極事業体制」に、拠点間の人材の繋がり及び多様な価値観を活用する「ダイバーシティ」を強みとする「マブチグローバル経営」を推進しております。本社・各拠点間の人材交流を促すための基盤となる人事制度の整備及び各種情報共有や拠点をまたぐ会議体の設定等を通じてグループレベルで相互理解と協力を促進し、グループ各拠点の横の繋がりを強化することに加えて、各拠点内における縦の繋がりを強化するための方針展開施策、教育及び階層を超えたコミュニケーション施策等により会社方針や価値観の理解・共有を図っております。各拠点において強固な開発・生産・販売体制を構築することにより、変化の大きい市場環境においても高品質な製品をリーズナブルな価格で安定的に供給できるよう、グローバルレベルでのリスクマネジメントを推進してまいります。

サステナビリティへの取り組み

当社では、SDGs(持続可能な開発目標)を、人を大切にしながら経済的にも成長できる目標と捉えております。2024年には2030年を最終年度とするサステナビリティ目標を新たに設定し、「地球環境を犠牲にすることのない企業活動」「豊かな社会と人々の快適な生活を実現するものづくり」「すべての人が活躍できる環境の実現」「社会的責任の遂行」をマテリアリティ(重要課題)として、事業活動を通じた地球環境や社会課題の解決に向けた積極的な取り組みを継続しています。気候変動への取り組みとして、2030年までにCO2排出量を2018年比で30%削減する目標を設定し、また、2050年までにカーボンニュートラルに向けた活動を推進しております。目標達成に向け、再生可能エネルギーの更なる活用や環境へ配慮した製品創出の取り組み等の具体的な施策を加速いたします。社会面での取り組みとしては、SDGsに貢献する製品の販売拡大やお取引先様を含むサプライチェーン全体でのCSR活動、人権への取り組み、また次世代を担う子どもたちが科学への関心を深める活動を推進してまいります。今後も、国際社会が直面している課題の解決に事業を通じて貢献することにより、経営理念「国際社会への貢献とその継続的拡大」の実現を目指し、グループの総力を挙げて取り組んでまいります。